私も仕事中に怪我をしたのだけれども労災保険から補償金はもらえるの?会社から賠償金をもらえるの?どのくらい請求出来るの?
そんな不安にお答えします。
- 労災保険給付金
仕事中に怪我や病気にあった場合(労働災害)には、労災保険から法で定められた給付金(労災補償金)が支給されます。
しかし,この労災補償金は必要最低限度の金額であるため損害の全額補填にはなりません。
例えば,労災補償金の場合は休業補償や将来の逸失利益は一部しか支給されず慰謝料は支給されません。
労災補償金とは,本来会社が支払うべきお金の一部を労災保険から支給する制度になります。
- 損害賠償金
仕事中の怪我や病気に対して会社に責任(安全配慮義務違反)がある場合には,会社は労働者の損害の全部を賠償金として支払う義務があります。
労働者の全損害からすでに支給された労災補償金を差し引いた金額を請求出来ます。
多くの場合には,休業中の賃金の4割相当分,入院や通院中の慰謝料,後遺症が残った場合の慰謝料や逸失利益を請求出来ます。
月給40万円(1日あたり1万3150円),年間賞与80万円の労働者(32歳)が業務中に右手親指(後遺障害等級表第10級7号)を失い6ヶ月間休業した場合
<労災保険から支給される給付金概要>
- ①療養補償給付金
怪我の治療のために必要な病院代です。
治療費は労災から全額支給されます。
- ②休業補償給付金
休業した期間の給料の約6割が支給されます。
40万円×6ヶ月×60%=144万円が支給されます。
- ③休業特別支給金
休業した期間の給料の約2割が支給されます。
40万円×6ヶ月×20%=48万円が支給されます。
- ④障害補償給付金
月給の約302日分が支給されます。
1万3150円×302日=397万1300円が支給されます。
- ⑤障害特別支給一時金
年間賞与の約302日分が支給されます。
80万円÷365日×302日=66万1917円が支給されます。
- ⑥障害特別支給金
障害に応じた定額が支給されます。
後遺障害10級の場合=39万円が支給されます。
労災保険から労災補償金として②③④⑤⑥の合計約694万3217円+①治療費が支給されます。
<会社に請求出来る損害金概要>
- ⑦休業損害金
休業した期間の給料の全額から①休業補償給金を差し引いた残りの金額を請求出来ます。
本件の場合,40万円×6ヶ月+80万円÷2-144万(①)=136万円を請求できます。
- ⑧通院慰謝料
怪我や病気により通院した期間に応じた慰謝料を請求出来ます。
本件の場合,約116万円を請求できます。
- ⑨後遺障害慰謝料
後遺障害(右手親指の喪失)が残ることに対する慰謝料を請求出来ます。
本件の場合,約550万円を請求できます。
- ⑩後遺障害逸失利益
後遺障害(右手親指の喪失)が残り労働能力喪失することに伴う今後(67歳まで)の賃金の減少分(逸失利益)から③障害給付金を差し引いた額を請求出来ます。
労働能力喪失率27%×年収560万円×16.193(35年の中間利息控除)-397万1300円=2051万2516円を請求できます。
労災保険から支給される労災補償金とは別に,会社に損害賠償金としての⑦⑧⑨⑩の合計2853万2516円を請求出来ます。
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